あんパンとコーヒーと、夏の思い出。
こんにちわー。
ac104です(*'▽')
今回のお話は、TDR125の燃費の悪さと、私の考えの足らなさが引き起こした、惨事と、そのピンチを救ってくれた、人の優しさに触れたお話です。
(*'▽')じぶん ひとにたすけてもらって ばっかりやん
文章オンリーですが、気楽に最後までお付き合い頂ければ、幸いです。
遡ること、今から10数年前の夏のことです。
当時の私は、奈良県は大和郡山市という所に住んでおりまして、仕事はまあ、激務ながらも、自分の仕事には責任とやりがいを持って過ごしておりました。
しかしながら、いくら志を持って業務に当たれども、金銭的な見返りがあっても、共に働く仲間に恵まれていても、辛いものは辛い。
肉体的にも精神的にもしんどいなー、ああ、どっか行きたいなー、一人で何も考えないで過ごす時間が欲しいなー。
そんなことを、日々、思っていました。
(*'▽')まだ、そろきゃんぷをしらないころさー
幸いなことに、仙台にいた時に購入したTDR125は手放すことなく、各地を転勤で回っていたので、休日のちょっとした時間に近隣を弾丸ツーリングすることが、私にとってのリフレッシュになっていました。
(*'▽')まあ、いまとそんな かわらんね
バイクって、長距離長時間乗ってると、無に、なる瞬間ってありません?
いや、ぼーっとするとか、何も考えてない訳じゃなくてですね。
集中して運転してる時。
例えば、
ワインディングとかを走ってる時に、次のコーナーのRはキツイから、倒し込む前に、もう少し減速だな。きっちりブレーキングして、クラッチ切って、ブリッピングしてギヤを落として、車体傾け、コーナークリア!からのーー立ち上がりのアクセル開けるポイントはーーーここだーー!ってビシっと決まって、TDRのパワーバンドをきっちり維持してスパッと曲がって、ビシっと立ち上がりの加速も決めて、さーてお次はー?と、ヒラリと重心移動して次のコーナーに向かうぜー…みたいなことしてる時。
その瞬間。
ああー、売上計画書作らなきゃー。
ああー、データ分析報告書作らなきゃー。
ああー、あれもやらなきゃ。
ああー、これもやらなきゃ。
ああー、クレームがぁー。
ってゆーよーなことは、一切考えていない訳です。
(*'▽')むちゃはせんよ あんぜんうんてんさー
運転にのみ、集中してる状態。
その瞬間、私はただの一人のバイク乗りとしてそこに存在している訳です。
よけーなことをあーでもないこーでもないと考えるでも無し、ため息つきながら下向いてボケらーっとしてる訳でもなく、目の前の道の先の、未知の景色に向かって、夢中で運転する訳です。
(*'▽')じぶん、原2だけどな…
その時、何か、すべてのストレスから解放されたような気がするんですよね。
そして、その先で、景色見ながら、一服して、帰りがけに何か美味いもん食って、温泉にでも浸かって、帰れば、ほら、
さー、明日っからも頑張るか!
気持ちを前向きに出来る訳ですよ。
(*'▽')りふれっしゅ という なの げんじつとーひ さ
いろんなルートで走りましたが、北は福井県の若狭湾周辺をうろちょろして三方五湖を巡ってみたり、滋賀県の琵琶湖一周してみたり、南は紀伊山地を抜けて和歌山や三重を巡ってみたり。夜の大阪や生駒の山の中を走り回ったり、そうだ、京都に行こう!なんて言いながら京都周辺を走り回ったり。
日帰りで、うろちょろしておりました。
(前置きが長くなりましたが…。)
この時は、熊野市から、尾鷲市方面を目指して山道を走っていた時の事です。
TDRは当時、リッターあたり20km前後走っていました。
燃料タンクは11L。
燃料計は無いので、車体を振って音で残量を感じ取るか、給油時にトリップメーターを0kmにして、距離で給油のタイミングを計っていました。
まあ、20km×11L。
ざっくりと航続可能距離は220kmですね。
私は200kmを目安に給油していました。
コックは常にONで、リザーブは使っていませんでした。
150kmくらいでガス欠みたいに一度、止まるのが怖かったんです。
(*'▽')ほんとうに こわいのは こっくONで がすけつ すること ですがね
熊野市辺りを抜けた頃のトリップメーターは180kmくらいであったと記憶しています。
まー、何とかなるしょ!
隣の町に行くだけさ!
30kmも無いだろー。
山道を抜けて、次の町、尾鷲市で給油すれば良いさ、と、走り出します。
初めて訪れた土地で、距離感も分からないのに、ツーリングマップルすら持っていなかった私は、見開き2ページで近畿地方をカバーするくらいのざっくりとした縮尺の全国地図しか持っていませんでした。
今の時代のようにスマホ何て無いので、Googleマップも見れる訳じゃなく、GPSで自分のいる位置を知ることも出来ない状況です。
道路標識だけを見て、熊野市。
おお、熊野古道の熊野かなあ?ワクワク。
そんな感じで走っていたので、尾鷲市?良く知らないけど、道路標識には、
↑尾鷲市
くらいしか無いので、まあ矢印通り、道なりに進めば着くんでしょー?ってなもんです。
勾配も激しい感じで、右に左にくねくねとした道でした。
楽しー。
なんて夢中で走っていたのですが、はたと気付けば、トリップメーターは200kmを過ぎていました。
そろそろガソリンスタンド無いとまずいなー。
何て思いながら、
コーナーの立ち上がり、
パワーバンドをキープして、
ここだー!
って、アクセルを開けた瞬間、
ほげ ほげ ほげ。
(;・∀・)ん?どうしたTDR ほげ?
ほげ ほげ ほげ。
ぷすん…。
Σ(゚Д゚)はうあ
やっちゃいました…。
超絶、人里離れた山の中で、
ガス欠か…。
路肩に緊急退避!と言っても、後続車も対向車もまーったくいませんが。
タンクをふりふりして、セルを回すと、エンジンがかかりました。
(*'▽')いけるか?
が、すぐにエンジン停止。
完全にカラだ。
(*'▽')やべー おわたー
ひとまず、落ち着くために、一服して。
考えます。
ケータイは圏外…。
助けを呼ぶ手立ては無い…。
地図を見る限り、もう残り10kmも進めば、市街地っぽい。
引き返すなら、20kmくらい戻ればガソリンスタンドがあったはず…。
バイクを置いて行こうという考えは無かったので、ガソリンスタンドが近くにあることを信じて、TDRを押して進むか?もしくは確実にスタンドを見た、20kmくらいを押して戻るか。
うん。進む。一択だな。
(*'▽')ぜんしん ある のみー
メットをミラーに掛け、ジャケットをシートに乗せて、くそ暑い中、山道をおし進みます。
200mくらい進んだ時点で、既に
心が折れそうです。
(*'▽')よわー
でも、自業自得です。
エンジン止まっても、転倒することなく、無事に路肩に逃げられたし、後続車がいなかったのは
不幸中の幸いだ。
などと、自分に言い聞かせます。
ほら、路肩に咲く綺麗な花も見れるじゃない。フツーに走り去っていたら気が付かない風景を、今、見れてるじゃない。
出来るだけ、前向きに考えます。
(*'▽')しんどい とき こそ えがおー
300mくらい進んで、ゆるい右カーブを抜けた先に、道路沿いに数軒の家が見えました。近づいていくと、軒先におばぁさんがいるのが見えました。
ずんずん進んで近くまで行くと、不思議そうにこちらを見ています。
こんにちわーって挨拶して、どーしたのーって聞かれたから、
ガス欠しちゃいました(^O^)
って、とりあえず笑顔で答えました。
悲壮感漂わせまいと、
強がっていました。
(*'▽')こころ おれそう さー
それは大変ねー。
って言われて、会話終了です。
恥ずかしいから、とっとと立ち去ろうと思ったのですが、せめてこの先どれくらい歩けばガソリンスタンドあるか、聞いてみようと思い、ここから進んだ先の一番近いガソリンスタンドと、20kmくらい戻るガソリンスタンドのどちらが近いか尋ねてみました。
ゴールが見えないと、よけいに疲れるじゃない?あと10kmくらいとかだったらいいなー。
おばぁさんの答えは、
車に乗らないからわからない。
とのこと。
そりゃそうですよね。
失礼しました。
あーだ、こーだ、いろいろと世間話をさせて貰って、
ありがとうございました、と、立ち去ろうと、またTDRをえっちらおっちら押し始めていましたら、
ふいに、
お入りなさい。
って声を掛けられました。
いや、早いトコ街まで歩かなきゃ、時間が無んだよーって思っていたのですが、もしかしたらガソリンを家において置いたりするのだろうか?と、ちょっと期待しながら、上がらせて頂きました。
これ、どうぞ。
って、おばぁさんが私に差し出してくれたのは、
あんパンとブラックの
缶コーヒーでした。
ガソリンは無いケド、オレのガソリンを頂けたわけですね。
ありがとうございます。これを頂いて、頑張って歩いていきます。本当にありがとうございますと申し訳ないですってカンジでした。
そして、続け様にこうおっしゃりました。
食べながら、少し待っていて。今、ガソリンを持ってきてもらうように電話してあげるから。
(ToT)まじっすかー。そんなに甘えていいんでしょうか?
ここら辺は、携帯電話も繋がらないから、あなたが電話をすることは出来ないでしょう?街の、いつもお願いしているガソリン屋さんがあるから、頼んであげる。多分、ガソリンも持ってきてもらえると思うから。
じーころ、じーころ、黒電話で連絡を取って頂き、ガソリンを持って来て頂けることになりました。
ガソリンを届けて貰うのを、待つ間。いろいろな話をさせて頂きました。
自分が北海道から出てきたこと、本州を転々としながら働いていること。
おばぁさんも、お子さんのことや、お孫さんのこととか、いろんな話を聞かせて貰いました。代々、この土地に住んでいるけど、自分の代で終わりだろう、子供たちは皆、都会で暮らしていると…。すこし、寂しそうにお話してくれました。
私も少し、寂しくなり、地元のことを想いながら、話をさせて頂きました。
そして、話をしながら頂いた、あんパンの甘さと、コーヒーの程よい苦さが、ものっすごく美味しく感じたことが鮮明に記憶に残っています。
そうこうしてるうち、ガソリンが届き、書ききれないくらいに、ありがとうございました、ってお礼を言って、帰宅の途につきました。
今でも、この時のことを思い出して、あんパンとコーヒーの組み合わせで食べることがあります。
甘味と苦みの、
優しい思い出の味です。
まあ、自分がアホでした。って話なんですけどね。
トラブルも、アクシデントも、
全部ひっくるめてバイクツーリング。
出会いがあったり、発見があったり、助けられたり、助けることがあったり。
だから、やっぱりバイクツーリングは大好きだな。
もうすぐ、今シーズンが始まりますね!
今年はどんなことが起きるやら。
まあ、楽しく過ごしましょう!
駄文、長文、失礼。
ここまで読んで頂きまして、ありがとうございます。
したっけ。